これからの「愛媛の森林」と暮らし
----岡田嘱託 |
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暮らしの根源を支える森林は、酸性雨の増加など外的要因が無く、適切な管理がなされれば永遠に存続するものです。先生方のお話にもありましたが、今、地球規模的にみて大きな課題は化石燃料の大量消費に伴う地球の温暖化と人口の急増による食糧不足問題です。温暖化については、天然林、人工林を通じて生長の旺盛な森林を恒続的に育成すれば温暖化の元凶である二酸化炭素の削減につながります。そして二酸化炭素を閉じ込めた木材で良質の家屋を建てれば、長期間にわたって二酸化炭素の安定化につながります。
食糧問題に関しては、増産のためには肥料が欠かせませんが、便利で効率の良い化学肥料も、現在のペースで食料が消費された場合、化学肥料の原料である燐鉱石も、同じく主成分の一つである石油もあと50年余りで枯渇するとの試算結果もあります。このように、地球の天然資源は環境と同じく有限であるということを認識することが大切です。それに比べて森林は取り扱いさえ誤らなければ永久に再生産可能な資源なんですね。昭和25年当時、本県は、木材、薪炭を始めとして、竹材は全国12位、タケノコ3位、和ロウソクの原料となるハゼの実2位、クリ4位、薬や染料の原料になる五倍子(ごばいし)6位、干しシイタケ17位、主にロープの材料となったシュロ皮5位、肉などの生鮮食料品の包装材に使われていた竹皮1位、屋根葺きの材料であったスギ・ヒノキ皮5位、和紙の原料であるミツマタ・コウゾ2位、ガソリンの代替材であった松根油5位と、多種多様の林産物が県内の森林から生産されていて、これを生業にしていた人は6万人近くに達していました。当時は暮らしに役立つ豊かな森林だったんですね。一方、これを今、森林を経済的に評価しますと、県内の森林の持つ水源かん養などの公益的機能は、平成12年度時点で、年間1兆1,267億円の評価額になるとの試算結果も示されています。
限りなく広がる国際化と効率を最優先する資本主義経済が高度化を続ける中、未来永劫に人類の繁栄を約束する資源と環境を守るためには、森林を経済面からのみ捉えるのではなく、公益的機能を重視した考え方に思考を切り替えるとともに、そこに生きる人々の暮らしに対する意識の改革も必要ではないでしょうか。現在、世界では毎年日本の国土の3分の1にあたる1,100万haもの森林が失われています。実は、本県でも、この30年間に坊っちゃんスタジアムのグラウンド約280面分にもあたる約400haもの森林が減少しています。昨年の世相を代表する言葉は"帰"でしたが、これは「県民共有の財産」として森林が評価され、役立っていた時代のスタンスに意識も対応も戻して、自然を主体にした暮らしに帰りなさいということも包括しているのではないでしょうか。
森林によって形作られる環境があってこそ始めて人間の生存基盤、言い換えれば日々の暮らしが守られるのです。「待てば海路の日和あり」の示唆するところを我々は忘れてはなりません。
今後は、天然林については極力維持コストを削減し、自然力を活用して生産性をアップさせることが大切です。県内に現存する全国有数の人工林については、初期投資が既になされているのですから、暮らしに役立つ森林として、今後も育てていかなければなりません。経営環境の厳しい林業界ではありますが、地域の実情に即した打開策を考究し、名実ともに「県民共有の財産」としての森林に仕上げていかなければなりません。