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web番愛媛の森林
「愛媛の森林」を考える

松本局長

 ありがとうございました。
 私たちの世代は、とにかく便利な物を追い求めてきました。電化製品や自動車、携帯電話やパーソナルコンピューター、蛇口をひねればいつでもお湯の出る暮らし、子供時分に欲しいと思った物で家にない物はなく、本来は満たされている生活のはずなのに、なにか違和感がある。そんな感じですね。実は「便利」を手に入れた替わりに「ゆとり」や「やすらぎ」を失ったのかも知れません。真に豊かな生活とは何かを、もう一度考え直さなくてはならないですね。
  さて、現在の「愛媛の森林」はどうなっているのかということですが、皆さんご存じのように、本県は県土の7割が森林であり、その約6割がスギ、ヒノキの人工林となっています。
  この人工林については、現在、様々な意見があり、極端なものになりますと、花粉症の原因になるからスギは全部伐ってしまえというものや、保水力の高いブナに、すべて樹種転換せよというものまでありますが、江崎先生どうお考えでしょうか。

現在の「愛媛の森林」は、どうなってるの?
----江崎先生
江崎先生

 世界の森林は97%が天然林ですが、我が国の森林は40%が人工林となっています。その中でも愛媛県の人工林率は62%で、全国平均の40%を大きく上回っており、全国でもトップレベルです。この点が世界の森林と日本の森林、中でも愛媛の森林が大きく異なっているところなんですね。これは、戦争で荒廃した国土の緑化と復興資材を供給するために、先人たちが積極的に拡大造林に取り組んできた結果なんですね。先人たちにその意図は無かったとは思いますが、結果的に、現在の世界的な環境問題であるCO2の吸収にも大いに寄与するところとなり、地球温暖化防止に貢献しています。

●人工林率 資料:世界森林白書1999、林業統計要覧2001
 
世 界
全 国
愛 媛
 
[百万ha]
[百万ha]
[万ha]
森林率
[面積]
26.6%
68%
71%
[3,454/13,000]
[25/37]
[40/57]
人工林率
[面積]
3%
40%
62%
[104/3,454]
[10/25]
[25/40]
天然林率
[面積]
97%
60%
38%
[3,350/3,454]
[15/25]
[15/40]


●植えすぎ? 適地適木?


  確かに愛媛県内の一部には、適地適木の大原則を無視して不適当な場所にスギやヒノキが植林されている箇所もあります。ただしそれらは、戦後木材価格が高騰した造林ブームの時期に植栽されたものであり、ほんの一部だと思います。



●「愛媛の森林」のポテンシャル(潜在能力)

 同じようなことがスギやヒノキの保水力についても言えます。よくマスコミなどは天然林の広葉樹林は保水力が高い、スギ・ヒノキなど針葉樹の人工林は保水力が低い、と報道しますが、根拠は一切示されていません。実際に私が過去20年間にわたって調査した結果、スギ・ヒノキも広葉樹と同様な保水力を有していることが数値の上でも証明されています。ただ、除間伐が遅れた林分や放置林分のために、そのように見えるだけであって、普通の手入れさえしていれば、天然林にも広葉樹にも決して劣るものではありません。

●土壌浸透能の比較(水を貯える機能)
 
一般的に用いられる値
重信川流域
浸透能(mm/時間)
比率(%)
浸透能(mm/時間)
比率(%)
森林平均
258
100
239
100
 
針葉樹人工林
261
 
265
 
針葉樹天然林
211
 
200
 
広葉樹天然林
272
 
260
 
竹    林
 
230
 
伐採跡地
158
61
160
67
草生地
128
50
110
46
裸地
079
31
85
36
資料:[一般的に用いられる値]村井宏・岩崎勇作「林地の水及び土壌保全機能に関する研究」1975
[重信川流域]江崎次夫1980〜2000



●木材の備蓄が急務

 例えば、愛媛県では、今後30年以内に40%、50年以内に80%の確率でマグニチュード8.4以上の南海地震が発生すると言われています。当然、戦後と同様、膨大な復興資材が必要となります。今から計画的にスギ・ヒノキを伐採しながら天然乾燥を兼ねて、東予、中予および南予地区の交通の要所に拠点を設けて、常に一定量の木材を備蓄しておく必要があるのではないでしょうか。一定量を超えた木材は、順次市場に供給していけば、大雨、台風、雪などで原木の供給がストップして原木価格が高騰するという、現在の市場の問題点も克服されると思われます。南海地震のための木材の備蓄を考えるという視点からでも、除間伐の推進、原木の山元からの一定量の供給、関連産業の安定した仕事量の確保など、現在の低迷する森林・木材産業の活性化が図れるのではないでしょうか。なお、備蓄にかかる経費については、自然災害に伴う復興資材の確保ということですから、当然、国や地方自治体が負担すべきと考えます。


●スギ・ヒノキが花粉症の元凶か?

 松本局長さんのお話にもありましたように、スギ・ヒノキといえば、すぐに花粉症が問題となりますが、大昔から大気中にはいろいろな花粉が飛んでいたはずなんですね。それが近年になって爆発的に花粉症の患者が増加したということは、視点を変えれば、都市や都市周辺から緑が急速に減少し、都市に人口が集中した結果の弊害とは考えられないでしょうか。また、自然から我々人間に対する何らかの警告かも知れません。大気汚染や食生活、ストレスが関係するという見方もあります。今一度、自然と人間との関係を見つめ直すことが大切なのではないでしょうか。


●針葉樹(人工林)と広葉樹(天然林)の保水力とは?

 松本局長さんのお話にもありましたように、スギ・ヒノキといえば、すぐに花粉症が問題となりますが、大昔から大気中にはいろいろな花粉が飛んでいたはずなんですね。それが近年になって爆発的に花粉症の患者が増加したということは、視点を変えれば、都市や都市周辺から緑が急速に減少し、都市に人口が集中した結果の弊害とは考えられないでしょうか。また、自然から我々人間に対する何らかの警告かも知れません。大気汚染や食生活、ストレスが関係するという見方もあります。今一度、自然と人間との関係を見つめ直すことが大切なのではないでしょうか。


●ブナが水をつくる?

 よくブナは水をつくるという表現がなされますが、本当でしょうか。ブナは土壌が厚くて、水分の多い場所を好んで生育する種類なんですね。一見、ブナが水をつくるように見えますが、決してそうではなく、そのような条件の整った場所にブナが群落を形成しているので、そのように見えるだけなんですね。
ブナの原生林
ブナの原生林
(橡尾(とちお)山)

●なぜ誤った森林の常識が定着したのか?

 それではなぜ、このような間違った判断をされるんでしょうか。これは私たちにも責任の一端があることなんですが、これまで森林や林業に関係する研究者、技術者、教育者、行政機関などから、一般の人々やマスコミ関係者に、森林や林業に関する正しい知識や情報が伝わっていなかったところに一番大きな問題があるんですね。このような基本的な問題点を前向きに解決する意味で「愛媛の森林基金」の果たす役割は、これからますます大きくなってくると思います。


●今、私たちに出来ること

 機関誌「愛媛の森林」を通じて正しい知識や情報を得ていただくと同時に、森林・林業の現状にご理解をいただき、「緑の募金」への協力や、基金「賛助会員」への入会といった具体的な形でご支援をいただくことにより、除間伐の遅れた林分や放置森林の整備が推進され、最終的には、その結果が目に見える効果として自分自身に還元されるということが大切なのではないでしょうか。
  また、現在、森林整備の担い手が大変不足しています。特に、山村では高齢化などにより、担い手不足が深刻な状況になっていますので、都市部の住民の方々には、ぜひ、「森林ボランティア」として、直接、森林の整備にご参加をいただき、実際の作業体験を通じて、森林・林業を正しく認識していただきたい。それとともに、将来、この活動が森林整備の大きな柱のひとつになるように活動の輪を広げていただくことが大切だと思っています。
  いずれに致しましても、「愛媛の森林」は県民共有の財産であり、その有効活用を県民全員が考え、その恩恵が県民全体に広がるようにしたいものです。

緑の募金街頭募金(於松山市大街道)
緑の募金街頭募金(於松山市大街道)
交流集会での炭焼き
交流集会での炭焼き
森林ボランティア
森林ボランティア
(於石手川ダム上流 「松山市水源かん養林」)

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