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結果報告 えひめの森林蘇生フェスティバル

 2002年9月16日、松山市の市総合コミュニティセンターにて「えひめの森林蘇生フェスティバル」(国土緑化推進機構、愛媛の森林基金、愛媛新聞社など主催)を開催しました。
  「ふるさとの森づくりコンサート」では「四季の歌」「坊がつる讃歌」などで知られる歌手の芹洋子さんが歌声を披露。松山少年少女合唱団との楽しい共演もありました。
 後半のパネル討論「森林の蘇生をめざして」では、愛媛大農学部の泉英二教授をコーディネーターに、木材販売のアイモク(伊予郡松前町)の井上昌俊会長やNHKの武内陶子キャスターらが参加して意見交換しました。
えひめの森林蘇生フェスティバルの様子

 パネルディスカッション「森林の蘇生をめざして」
コーディネーター
愛媛大学農学部教授 泉 英二氏
パネリスト
アイモク会長 井上 昌俊氏
  東予流域林業活性化センター事務局長 上野 清七氏
  NHKキャスター 武内 陶子氏
  住友林業新居浜事務所課長代理長 谷川 香織氏
  県農林水産部長 市川 憲次氏

人材育成が大切。
"緑の伝道師"を愛媛から

武内 陶子氏
武内 陶子氏
林業体験の場を提供。
もっと山に親しんで

長谷川香織氏
長谷川 香織氏
人工林は荒れ、
下流の「うちぬき」が心配

上野清七氏
上野 清七氏
光を取り込む「間伐」が
森林再生の決め手

泉英ニ氏
泉 英二氏
公共施設に県産材。
市町村も取り組みを

市川憲次氏
市川 憲次氏
木を育て木材を使う
それが地球を救う道

井上昌俊氏
井上 昌俊氏

おなじみの武内さん、トップバッターを。
武内
私の実家は大洲市だが、子どものころは南宇和郡一本松町などで暮らしたこともあり、"グリーン指数"は100%と自負している。都会にいると見過ごしがちだが、緑が大切だということは、みんな分かっているはず。今日は私たちが何を伝えなければいけないのか、そのために何をするべきかを学びたい。
井上
会場の皆さんの中には、木を植えることが地球を救うことだと勘違いしている人がいるが、大切なのは植えた木をきちんと育てることだ。木は伐ってはいけないと思っている人も多いが、これも大きな間違い。消費は生産につながり、それが放置林を無くすという観点から木をもっと使ってほしい。日本は木の文化。松山城や道後温泉本館は木造だからこそ大勢の人が訪れている。県や市には、あらゆる公共施設を愛媛の木材で造るようお願いしたい。
長谷川
森林には災害防止や生活環境保全などの機能がある。それらの機能を発揮させるためにも、林業活動を通して森林整備を進めることが合理的だが、木材価格の低下でそれができなくなっている。特に人工林は長い年月をかけて整備する必要があるのに、木を伐るまでに掛かる費用と、木を売って得る収入のバランスが崩れ採算が取れず、林業が成り立たなくなっている。解決には価格低下に対応できる森林を造成し、住宅用だけでなく、あらゆる用途で葉っぱの先から根っこまで使えるようにしなければならない。
上野
私は西条市の加茂川上流で44年間林業をしている。木材価格の低下で経営は苦しく、普通の会社経営者ならやめてしまうような状態だ。加茂川上流の人工林も整備がなされなくなり、このままでは西条の「うちぬき水」もダメになるのではないかと心配している。これまでに自分ができることはやったつもりだが、万策尽きた。今は行政の政策に期待しながらなんとか頑張っているところだ。木材は育った地域で使うと最も長持ちする。しかし国産材のシェアは20%と低く、このままでは国産材の居場所がなくなってしまう。県には国産材をPRする説明会を定期的に開くなどの手だてを考えてほしい。
市川
県では昨年を森林蘇生元年として、水源の森づくりや放置林対策などに取り組んでいる。木材需要の喚起と森林蘇生は表裏一体であり、県産材を使った公共施設の徹底した木造化を進めている。県内各市町村にも公共施設の木造化を検討していただきたい。また、間伐材を製紙原料として利用する方法も検討しており、定着すれば大きな効果が出ると期待している。
武内
愛媛には緑いっぱいの森がたくさんあるので、蘇生といわれてもピンとこない。本当に森は死にかけているのか。
上野
森は外から見ると緑豊かだが、内側は草が生えず土壌むき出しの荒れた森林が多い。森林を元気にするための間伐が急務だ。
森林の上を葉が覆うと、日光が内側まで届かず木の成長が妨げられる。すると木が光合成をして酸素を出す量と、木が呼吸して出す二酸化炭素の量が同じになる。しかし間伐をすると、林内に光が射すようになり、下草が生え、木は枝を広げて本来の機能を発揮できるようになる。ここに間伐が森林蘇生の決め手といわれる理由がある。
武内
人工林は悪いと思っていたが、きちんと整備すれば森林本来の機能が働くと分かった。ところで森林が荒れた状態が続くと、上野さんの言うようにおいしい水が飲めなくなるのか。
上野
土壌や下草がない荒れた山では、降った雨が土石流のように流れてしまう。これが進むと、うちぬき水でさえ無くなる可能性もある。
今日は林業に関係のない一般の方も多いが、そういう方はどうすればよいのか。
市川
森林の新しい担い手でもある森林ボランティアの活動が盛んになっている。農山村の森林が荒れると都市部の災害が発生する要因になる。森林は都市住民の命や財産を守っている。愛媛大農学部の江崎次夫教授が提唱するように「川上の住民は、森林は自分だけのものではないと理解し、川下の住民も森林によって自らの生活が成り立っていると自覚するべき」との考えが大切だ。県ではボランティア支援のためアドバイザーの派遣、のこぎりやクワ、草刈り機などの貸し出しなどもしているので、ぜひ皆さんも参加してほしい。
長谷川
実際に木を伐ったり、下草刈りをしたり、枝打ちをすると意外と楽しいものだ。我が社では別子山に一般公開している林業体験施設がある。今後はこのような施設を通じて、林業体験イベントを増やし、皆さんにより山に親しんでもらいたいと思っている。そういう場を提供することが、私たちの義務だ。
武内
今回をきっかけに、愛媛の皆さんが若い人材にたくさん投資して森林先進国に派遣するなど、50年、100年先を見据えた活動に期待したい。そして森林の大切さを世界に説いてくれる「緑の伝道師」が、ここ愛媛からたくさん出るようになってほしい。
井上
愛媛だけでなく、全国の森林が蘇らなければいけない。そのためにも武内さんには今日のことを踏まえて、日本中を緑にしましょう、放置林を無くしましょう、と呼び掛けてほしい。また行政には、幼いころから木の大切さが身につくように、教科書や授業で木の大切さを学べるようにしてほしい。そうでなくては30年後、50年後の地球は本当にダメになってしまうだろう。
会場の皆さんも緑の羽根の募金や愛媛の森林基金賛助会への入会、また森林ボランティアなどを通じて、森林蘇生に力を貸していただきたい。皆さんの一歩一歩が森林にかかわる人たちの大きな勇気になる時期にきていることを理解してほしい。

(平成14年10月31日(水)付愛媛新聞 14・15面から転載)

ふるさとの森づくりコンサート
「坊がつる讃歌」や「赤い花白い花」を歌う芹洋子さんと松山少年少女合唱団。
のびやかな歌声に緑豊かなふるさとの情景が浮かぶ

芹洋子さん
芹洋子さんと松山少年少女合唱団

グリーンフェア

県内の企業や団体が、
ボランティア活動など
森林保全への取り組みを紹介

来場者にはツバキの
苗木がプレゼントされた


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